寛志は、柔らかなまなざしで琴耶を見つめている。
気拙くはない沈黙の中、間が持たなくなって琴耶はあちこちに視線を投げていた。
そんな態度も、寛志には愛しく感じるのだろうか。口は閉ざして、期待だけを向けているのが良く分かる表情だ。
(おにいちゃんは、名前を略しちゃうと、ひろ、が一番呼び易そう。でも、ひろって呼べる?)
琴耶は、寛志を「ひろ」と呼ぶ自分を想像して頬を染める。
(あわわ。ダメだよ、恥ずかしい……せめて、ひろさん、とか。え、えへへー!)
ひとりで照れくさくなって、無意識に寛志の顔に焦点を合わせた。
「ん? どうした?」
「何でもないよっ。今、考案中」
「俺は待機中……ふふっ」
上手く返せたと思ったのか、寛志は笑い始めた。ツボにはまったのか、笑い声が大きくなっていく。
屈託のない笑い声に琴耶が惚れ直しているところへ、寛志の携帯電話が鳴った。
しばらく着信音を聞きながら、何とか笑いを止めようと四苦八苦している姿も琴耶には新鮮だ。
(僕は、おにいちゃんのこと少ししか知らないんだ。仕方ないよね、付き合い始めてからは遠距離だし)
もっともっと、新しい寛志が見れるはずだと前向きに考えるが、その前にある大きな関門を思い出して渋面になる。
(「おにいちゃん」って、言い慣れてるからなぁ。それ以外で呼ぶのって、本当に恥ずかしいよ)
「ちょっと、ごめん」
寛志は相変わらず古い携帯電話を握り、ようやく通話に応じる。
「はい、ああ……分かってる、ちゃんと送るって。そっちの住所は間違えないし、うん。だから、大丈夫だって電話しただろ? え? 忘れるからメールにしてくれとか、お袋が言うなよ」
いつまでも寛志にべったりな母親からの電話らしい。面倒臭そうな口調になった寛志は、琴耶には滅多に使わない口調で会話を続けた。
「見つけたって言ったよな? 明日送るから、そう。そっちには明後日着く……分かった、分かった! 後で出しに行く。袋に入れて、うん、はぁ? ちゃんとした梱包するなら、明後日になるし」
寛志を見守っている琴耶をチラ、と見て、苦笑の表情を浮かべる寛志。
「……あーはいはい、もう切るから」
わざとらしくため息を吐いて、寛志は通話を強引に終わらせる。琴耶に視線を真っ直ぐ戻すと、ポイっと携帯電話をベッドの上に放り投げて折りたたみ机に身を乗り出した。
何事かと少し身体を引いた琴耶へ、寛志は笑顔を見せる。
「まーだ?」
「えっ、あ、うん……もう、ちょっと」
「楽しみなんだ、早く早く」
「待機中って言ったのに?」
「気が変わった、って困らせてみる。ダメ?」
寛志の優しい、というよりは距離の近づいた感覚の言葉使いに、琴耶は目を瞬かせた。
「お……おにいちゃんだから、良いよ」
「よし、じゃあどんどん行こう。琴耶、早く決めて!」
(どんどん行くって、どういう意味? これからは、話し方まで変えちゃうってこと? あぁ、僕が置いてけぼりだよ!)
琴耶は、困ってしまって口を噤む。
そんな琴耶の表情に満足なのか、寛志はニコ〜ッ、と営業スマイルに似た笑顔になった。
「遠慮なく我侭言うよ? 俺は、恋人だからね?」
(はぅあああーっ、こっちが恥ずかしくなるようなことをサラッと!)
「ほらほら、赤くなってるだけじゃなくてさ」
「は、ぅ……んと、えーと」
「はーやーく、はーやーく」
「……もしかして、イジワルしてるの?」
「うん。困ってる顔、可愛いから」
(だからっ、どうしてサラ〜ッとそういうことを言うの、おにいちゃんっ!!)
ピーッ、と耳から湯気が出そうだ。
琴耶はご機嫌な寛志をまともに見ることができなくなり、真っ赤な顔を下に向けた。
「下を向かないで、こっち見て?」
(おにいちゃん、おにいちゃんの「お世話係」スイッチはオフにすると拙いよっ、僕的にっ!)
けして強引ではないが、とにかくタイミング良く押してくる。
(僕、押しに弱いからなぁ……しかも、相手はおにいちゃんだよ? ああぁ、どうしよう)
目を閉じて下を向き、皮膚が引っ張られていると感じるくらい真っ赤になっている琴耶の顎の下に、ぴた、と少し冷たい感触。
「っ?!」
「俺に顔を見せて、琴耶」
形の良い顎をやわやわと寛志の指に弄ばれ、琴耶は困りきった顔を上げて恨めしそうに唇を尖らせる。
「あ、あんまり……イジワル、しないで」
「可愛いから、つい」
「また泣いちゃう、よ?」
「良いよ? 慰めてあげる」
(あああああーっ! お願い、今だけでも「お世話係」スイッチオンにしてーっ!!)
地味な琴耶の反撃も大らかに受け止めると、寛志は笑みを浮かべた。
「良いね、こういうの」
「こう……?」
「琴ちゃんが近くて、今までよりずっと楽しいし嬉しい」
「それって……僕のことを、気遣ってくれていたってこと?」
「そうなるかな。俺の記憶の中の琴ちゃんは、お世話をしていた琴ちゃんだから。黄金のコインで琴ちゃんのことを思い出して付き合い始めたけど、まずは面倒を見てあげなくちゃ、って……かなり酷いな、俺」
琴耶の顎の下の指が、ゆっくりと頬に移動する。
「ごめん、琴ちゃん。たくさん好きって言ってるクセに、やっぱり俺はちゃんと恋人じゃなかった」
「……」
言葉が出なかった。
頬を撫でる寛志の掌のぬくもりと、向けられる視線の穏やかさに琴耶は魅入ってしまう。
琴耶から見た寛志は、小銭に関しては野生動物並の能力を発揮する、人よりも忘れっぽいところがあるけれど大好きな人だ。しかし、琴耶がまだ知らない部分で、寛志は意外と冷静さを持っているらしい。
「っと、琴耶、だ」
苦笑とともに頬から離れた掌を、琴耶は反射的に捕らえた。
寛志の視線は琴耶に掴まった自分の手に落ちて、まなざしの代わりのような柔和な微笑が浮かぶ。
「ぶっちゃけちゃうと、伊崎に怒られたんだよ。中途半端だって」
「え……っ」
「えっとね、甘えているのか甘やかしているのか……、こ、好ましい相手に対する? んーと、相応の礼儀がどうとか……とにかく、俺の、琴ちゃ……琴耶への態度は恋人じゃなくて、お世話をするバイトみたいだって」
(おにいちゃんにも分かりやすいように、説明してくれたんだな。伊崎先輩)
久貴特有の固い口調は、寛志の中ですでに薄れている。
だが、寛志に自分の名前を覚えさせた人物だけのことはある。伝えたいと思ったポイントは、しっかりと寛志の記憶に残っているようだ。
「誰からも給料もらってないのに、バイトなんてありえないよ。それに、俺は違うと思ってたんだけど……伊崎に言われてから考えてみると、いつまでも「琴ちゃん」を見てたんだよね」
寛志の手を握っている琴耶の両手の上に、寛志の残り片方の掌が乗せられた。
「だから、「お世話係」と「琴ちゃん」から卒業した。そしたら今、すっごく気持ちが軽い」
「おにいちゃん……」
「俺は「おにいちゃん」じゃないよ、琴耶」
琴耶は、ガツン、と釘を刺されたような感じがした。
これ以上「おにいちゃん」と言えない雰囲気が、寛志から伝わってくる。
(はっ、早く言わなくちゃ……!)
「ひろさん」と言ってしまわなければと焦りつつも、琴耶は恥ずかしさが先行して口元を動かすだけになってしまう。
慌ててしまうと、ほんの数分が嫌に長い。
その間ずっと寛志に見つめられ、取られた手が寛志の温もりにしっとりする。
「あの……、ん、と……ひ、」
「ひ?」
「ひ……、ひ……ろ、さ……っ、ぅう!」
赤い顔をさらに赤くして、力いっぱい瞳を閉じた琴耶。
寛志のことを「おにいちゃん」の他で呼ぼうとすることが、琴耶にはかなりの抵抗がある。
(ひ、ひろさんって……っ、うわあああぁ、ダメだよ恥ずかしくって……!)
寛志が待ってくれているから、と、思った瞬間、寛志の手に挟まれた自分の手が少し強く引っ張られた。
「あっ?」
ちゅ、と手の甲に寛志の唇が触れる。
「はわ、な、っ?」
繰り返し、わずかに触れる場所を変えながら、寛志はキスを続けた。
「ちょ……まっ、何をっ」
「じれったいから、実力行使。ちゃんと言わないと、もっとしちゃうよ?」
(そんなことされたら、改めて言うなんて到底無理だよぉー!)
「あ〜、俺ってイジワルだなぁ。ね、そう思わない? 琴ちゃん」
自嘲をかすかに浮かべた寛志だったが、真っ赤な顔で硬直している目の前の琴耶に優しい視線を送る。
「こっ……琴ちゃん、じゃ、なぃ……よ?」
遠くで聞こえる虫の音のような声音を震わせ、琴耶は何とか抵抗をしてみた。
「あぁ、そうだね」
「わ、ひゃ……っ!」
小さな折りたたみテーブル越しに身を乗り出した寛志は、琴耶の身体を強引に抱きしめる。咄嗟にバランスを取ろうと、琴耶も寛志にしがみついた。
「ほらほら、琴耶。ぎゅう〜!」
(わーん、嬉しいけどおにいちゃんのバカー!!)
中腰で寛志に寄りかり、ほとんど身動きの取れない琴耶に対して、身長のある寛志は琴耶を抱擁しても余裕がある。蠢く琴耶を深く抱きしめ、鼻筋を髪に擦り付けた。
「ん、良い匂い。それに抱き心地も最高。イジワルして困る顔も、泣き顔も、琴ちゃんの全部が大好きだよ」
耳元で囁いて、寛志は何度目かの「あ」を言った。
「うーん。琴ちゃんって言っちゃうなぁ……改善策を考えないとダメだね」
そう言いながら、寛志の息や指がなおも琴耶に些細な悪戯をする。
「ひゃ、ぁ、んっ。ちょ、と……し、深呼吸させて」
「あ、苦しかった?」
「そうじゃないけど、ちゃんと言うための気合を入れようかなと……」
「よし、良い心意気だ」
琴耶の頭を撫でた寛志は、腕の力を抜いて二人の間に隙間を作った。
それでも近い寛志の顔に向かって、琴耶は深呼吸を数回続ける。
(よ、よし……っ!)
羞恥心にピリオドを打ち、気合の入ったところで琴耶は口を開いた。
「……ひ、ひろ、さん?」
「何?」
気合が入ったと思っているだけだったのか、寛志には聞き取りにくかったようだ。
すぐさま聞き返してきた寛志に、琴耶はまた深呼吸をした後で声を発する。
「ひろ……さん」
「もう一回」
「えぇっ?!」
「練習だと思って」
「うぅ……ひろさん、ひろさん、ひろさんっ、ひろさんっ!!」
寛志の言葉はイジワルだろうと思いながらも、琴耶は自棄になって勢い良く繰り返した。
「大サービスだね。うん、嬉しいよ」
心から満足げな表情を浮かべ、寛志は琴耶を再度抱きしめた。
(はぅ、一大イベント……乗り切った……! でもこれで、琴成にも報告できるかな)
琴成が意味深に残した言葉を思い浮かべ、琴耶は湧いてくる達成感に顔が緩む。
(不思議……。おにいちゃんも言ってたけど……何だか、気分爽快)
呼び方を変えただけのことなのに、確実に琴耶の心の中で「何か」が変わった。
(僕も、「おにいちゃん」にただ甘えているだけだったのかな)
久貴が寛志に指摘したことは、琴耶にも言えることだったのかもしれない。
いつまでも「おにいちゃん」に甘えて、恋人としての対等さはなかった気がする。「おにいちゃん」である寛志の優しさを甘受していた……そうも思える。
(大好きの意味が、今までと今じゃ違う気がする)
琴耶に「幼い頃のままの馴れ合いと、恋人同士の馴れ合いは違う」と示唆てくれたのは、きっと琴成だ。
(ありがと、琴成。今度、大好きなケーキ買って遊びに行くからね)
抱きしめてくれている寛志の懐が温かくて、懐くように擦りついた。寛志が応えるように髪を撫でてくれるのがまた、気持ちが良くて笑みが浮かぶ。
(今までと違う。おにいちゃんじゃなくて、ひろさん。お世話係じゃなくて、大好きな……僕の、恋人……)
ずっと、会いたくて仕方のなかった「おにいちゃん」。
鳳稜生活の中で思い出してもらおうと追いかけている内に、気がつけば好きになっていた。
それなのに今、もう一度好きになった気分になった。
本当の意味で、寛志に「恋」をした。
「あのっ!」
「え?」
ガバッ、と顔を上げた琴耶の、改まった声にきょとんとする寛志。
その腕の中でゴソゴソと居住まいを正してから、琴耶はじぃ〜っと寛志の表情に視線を浴びせる。
「どうしたの?」
「あの、えっと……おに、ひ、ひろさん! これからも、僕のこと、よろしくお願いしますっ!」
これからは、恋人として……とは到底言えなかった琴耶だが、迷いが吹っ切れた後のように清々しい気持ちだった。
「おにいちゃん」から抜けた感覚で見る寛志は、今までよりも、ずっと格好良い。
「うん。こちらこそよろしく、琴耶」
寛志の一呼吸後の柔らかい微笑みに、琴耶は釣られて笑顔を浮かべた。
桜の木に若葉が芽吹き、それが立派な青葉になる頃、琴耶は自宅で荷物をまとめていた。
「はぁ〜。ひとりで荷造りって、こんなに疲れるモノなんだぁ〜」
以前は琴成と一緒になって、引っ越しの準備をしたものだ。
「琴耶ー、ひろちゃんがきたわよ」
「え?」
まとまっていない荷物から顔を上げると、ちょうど部屋のドアがノックされた。
「ごめんなさいね、散らかっちゃって」
「構いませんよ。何なら、後で荷造り手伝います」
「本当? ウチの人ったら引っ越すって言うだけで、荷造りにはほとんど参加しないから助かるわ」
「あはは」
にこやかな会話をしながら、母親に案内されてきた寛志が現れる。
父親の剛志はすっかり忘れていたが、母親の詩織は寛志が琴耶のお世話係だということを、ちゃんと覚えていた。だから、こうして寛志が突然やってきても何の疑問も持たずに家の中へ通してくれるのだ。
「それじゃあ、ゆっくりしてね」
笑顔を絶やさない母親が去ると、琴耶は一番に聞いてしまった。
「ひろさん、バイト代出ないのに手伝ってくれるの?」
「あ、そうか。そうだね……でも、良いや。琴ちゃんの手伝いだし、ん?」
「はい、早速10円徴収しま〜す」
「あちゃー、しまった!」
ニッコリ笑って掌を差し出した琴耶に、寛志は苦笑しながらポケットをまさぐり10円玉を渡す。
もらった10円玉をアルミ缶の貯金箱に入れ、琴耶は寛志を見上げた。
「改めて、いらっしゃい、ひろさん。散らかってて、本当にごめんなさい」
「気にしないで良いよ。俺が勝手にきたんだし」
「それで、おにいちゃん今日は……あ」
「毎度〜」
「うぅ」
営業スマイルの寛志の前で財布を広げ、琴耶は10円玉を貯金箱に投入する。
「一ヵ月半で980円か。この罰金制度は、なかなかに厳しいな」
「え、おにいちゃん数えっ、あぅ」
「またまた、10円毎度あり」
「これで990円……」
「俺が一日平均11回くらいで、琴ちゃんが15回くらい……あぁ、記念すべき100回目は俺か」
「一ヶ月ちょっとじゃ、口癖って直らないモノだね」
「そうだなぁ」
琴耶から受け取った10円と一緒に自分の分も貯金箱に入れた寛志が、その重さを堪能しているのを眺めながら琴耶は小さくため息を吐いた。
「琴ちゃん」と「おにいちゃん」から離れるために、寛志が考えたのが罰金制度だ。
二人して一ヶ月もすれば大丈夫、と笑っていたのだが、結果的には惨敗といっても過言ではない。
「一ヵ月半も経つのに、投入回数に減少が見られないのは困りものだな。この状態だと、俺達が10円罰金から解放されるのは早くても8ヶ月から10ヵ月後になる。と言うことは、軽く考えても4500円は溜まるかも」
スラスラと暗算してしまう小銭魔王の寛志の言葉に、琴耶は「うわぁ……」と引きつり笑いを漏らすしかない。
「でも、気にしないでおこう。構えて考えたって、仕方ないし」
軽く笑ってから、寛志はさりげなく床に広がっている荷物の簡単な分別を始めた。そして、積み上がっている空の段ボールに入れ始める。案外寛志は、散らかっているのが気になるタイプなのかもしれない。
「あ、ひろさん。これ……梱包用の紐とガムテープ」
「ありがとう。じゃあ、中身の確認をしたら何が入っているか書いて」
「うん」
それからしばらく、テキパキと二人で荷造りを進めていると、気がついたように琴耶を見る寛志。
「そうそう、琴耶が引っ越す先で破格物件を発見したんだよ。それで嬉しくなって、乗り込んできたんだった」
「そうなんだ!」
「教えてもらった住所から自転車で5分、さらには駅近物件なのに超安くてさ」
寛志の梱包を邪魔にならない程度に手伝いながら、琴耶は一瞬眉をしかめる。
「……ひろさん、それってその部屋だけ安いとか?」
「大正解! そうなんだよ、他の部屋の半分以下でさ」
(何だか、嫌な予感が)
「内装は全リフォームされているから、大丈夫だって」
琴耶の不安が伝わったのだろうか。
寛志は意味ありげな笑みを浮かべて、琴耶の頭をポンポン叩いた。それから額をくっつけて、近くなる琴耶の表情を覗き見る。
「それとも琴耶は、俺と一緒でも嫌なのかな?」
「嫌じゃないよ。でも、何が起こった部屋なのかは言わないで」
「どうしようかな〜そっくり君なら、聞いてくれるかな?」
「わー、ダメダメ! 琴成に言ったら、絶対僕に言うんだからっ!!」
「あはは〜それは狙う価値ありだな。怖がる琴耶も可愛いだろうし」
「イジワル過ぎだよ、お、ぅ、ひろさん…………」
一瞬の目配せの後、琴耶は諦めたように10円玉を貯金箱へ入れた。
「これ、本当にいつか終わるかな」
「絶対終わるさ」
その自信がどこからくるのか、寛志は当たり前のように言い切る。そんな自信に溢れた寛志を不思議そうに見つめる琴耶に、軽くウィンクをして見せた。
「恋人だからね、俺達」
「……うん、そうだね!」
僕らの恋は、まだ終わらない。
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終
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